1/6「国民の宝」 | 1/13「WHOの医療評価」 | 1/20「世界一の医療費抑制策」 | 1/27「市場原理化の医療」 | 2/3「患者負担増える『混合診療』」 |
2/10「新世紀の医師憲章」 | 2/17「高齢社会危機と消費税」 | 2/24「社会保障と公共事業」 | 3/9「国保があぶない」 | |
3/16「誰のための介護保険」 | 3/23「医師の名義貸し」 | 3/30「医療報道」 |
「薬漬け医療の真実」 上塚高弘(熊本県保険医協会会長) |
新聞記事などによく「薬漬け医療」という言葉が使われます。 これは、日本に医療費の中で薬剤の占める割合(薬剤比率)が高いことを根拠にしており、日本の医療は出来高払いで医師は薬を出せば出すほど儲かるため、必要以上に薬を出しているのが原因だ、などと説明されることがあります。 確かにわが国の薬剤比率は高く、1997(平成9)年の全国保険医新聞によれば、米、英、独、仏、日の平均が18.2%なのに、日本は29.1%になっています。 しかし、薬をたくさん使っているためではありません。薬剤使用量は5カ国平均の92%で、むしろ少ないのです。 日本で医師の薬の使用が少ないのに薬剤比率が高くなる原因の一つは、日本の薬の値段が高いことです。日本の薬価は5カ国の平均薬価の1.49倍で一番高くなっています。 日本の薬価は厚生労働省の支配下の薬事・食品衛生審議会で決められ、薬価審議の過程は公開されません。その結果日本で開発された高脂血症の薬が、英で92円、仏で67円で販売されたのに、日本では212円になったりします。そして官僚は製薬会社に天下りします。このような不当な薬価を是正するだけで、1兆5千億円の医療費が節約されるといわれています。 薬剤比率が高くなるもう一つの原因は日本の医療技術料が低いことです。たとえば診察と胃内視鏡検査を受けると、米では7万2千円ですが日本では1万6千円です。これに同じ4千円の薬を投薬されると、米では薬剤比率は5%ですが、日本では分母になる総医療費が2万円と安いため、20%になってしまいます。 「薬漬け医療」の真実から、いろんなことが見えてきます。 H16年3月2日 |
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