1/13「WHOの医療評価」 1/20「世界一の医療費抑制策」 1/27「市場原理化の医療」 2/3「患者負担増える『混合診療』」
2/10「新世紀の医師憲章」 2/17「高齢社会危機と消費税」 2/24「社会保障と公共事業」 3/2「薬漬け医療の真実」 3/9「国保があぶない」
3/16「誰のための介護保険」 3/23「医師の名義貸し」 3/30「医療報道」


「国民の宝」  上塚高弘(熊本県保険医協会会長)

 今、日本で国民の宝といったら何でしょう?「治安のよさ」「教育の普及」などが候補でしょうか。でも私は「患者さんにとっての医療」を挙げます。
 「ばかな」といわれそうですが本気です。しかし、まともに受け取ってくださらないことも良くわかります。別の項で述べますが、大多数の皆さんは、医療についての正確な情報を与えられていませんから。
 また、中にはわれわれからみても、まゆをひそめるような医師がいて、不愉快な思いを経験された方々がおられることも認識しています。そのような医師を排除するシステムが不十分なことも事実です。

 でも全体的に見て、日本の医療は患者さんにとって好ましいものと思います。
 例えば、日本では熱が出てどこかを受診したら、多少待たされても必ずその日のうちに診てくれます。しかし、外国では通常はこうはいきません。たいていは予約で、3日先とか1週間先に来るように言われます。スウェーデンなどは、2・3週間先が当たり前だそうです。
 そして、その医療費も安いのです。1990年の外来受診1回あたりの医療費はアメリカ6.2万円、イギリス2.5万円、フランス3.6万円、スウェーデン8.9万円。これに対し、日本は7千円です。
 患者負担率は高いのですが、安い医療費のおかげで国民一人当たりの年平均受診回数は、アメリカ5.3、イギリス4.8、フランス5.2、スウェーデン2.7なのに、日本はなんと21回です。

 国民皆保険と医療費の安さと医師の勤勉性がアクセスのよさを生み、病気が早期に発見されて平均寿命世界一に貢献しています。
 私は、このようになるべく客観的に医療の現状を話していく予定です。
H16年1月6日
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