1/6「国民の宝」 | 1/13「WHOの医療評価」 | 1/20「世界一の医療費抑制策」 | 2/3「患者負担増える『混合診療』」 | |
2/10「新世紀の医師憲章」 | 2/17「高齢社会危機と消費税」 | 2/24「社会保障と公共事業」 | 3/2「薬漬け医療の真実」 | 3/9「国保があぶない」 |
3/16「誰のための介護保険」 | 3/23「医師の名義貸し」 | 3/30「医療報道」 |
「市場原理下の医療」 上塚高弘(熊本県保険医協会会長) |
先日、元ハーバード大学助教授の李啓充先生に「いま日本の医療が危ない−米国医療を通じて考える明日への視点−」と題して講演していただきました(県保険医協会主催)。先生は、現代医療のあり方に警鐘を鳴らし続けておられます。感銘深い話の中からいくつかご紹介します。 今政府は、競争させれば価格も下がり質も良くなると、医療界に市場原理を持ち込もうとしていますが、李先生はアメリカでの経験から、市場原理下の医療の問題点を指摘されました。 @弱者の排除 アメリカは高齢者と低所得者以外は民間保険ですが、保険会社はなるべく保険金を払わなくてすむように、有病者は保険に加入させません。加入させる時は高額の保険料となるので、払えない人が多く、米国民の7人に1人は無保険になっています。 A悪貨が良貨を駆逐 医療の質は悪くても低料金を売り物にする病院ができると、周りの病院も低料金にせざるを得なくなり、良心的な質の高い医療を続けることができなくなります。 B医療費が下がる保証はない 一時的に医療費が下がっても、巨大企業が病院買収で市場を独占しますと、その後は不必要な医療や不当に高価格な医療を行い、医療費は上がります。企業ごとに保険も異なるので、事務は複雑で事務費は膨大になります。 アメリカでは巨大病院チェーンがばく大な利益を上げており、わが国では、それを見習ってビジネスチャンスの拡大を狙う企業人が、政府の総合規制改革会議などを通じて病院経営への株式会社の導入を図ろうとしています。そこには患者によい医療を提供するという視点があるのかどうか疑問です。 アメリカ国民の怒りを買った市場原理の医療が、日本に必要なのでしょうか。 H16年1月27日 |
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