決 議
   政府は社会保障財源に充てることを目的に、今年4月から消費税が8%に引き上げた。来年の10月には10%への引き上げが予定されている。消費税が引き上げられても、今年度の国の予算は、税収で歳出の半分しか賄えない状態に変わりはなく、アベノミクスの効果で多少景気が上向いたとしても、国と地方で1000兆円を超す借金を抱える厳しい財政状況が好転する兆しは見えない。
 一方、一般会計歳出の3分の1を占める社会保障費の抑制は待ったなしの課題と言っているが、抑制の前に2025年問題と言われる超高齢社会の峠を乗り越える方策の十分な検討が必要である。しかしながら、独居を含む高齢世帯や認知症患者の急増など、これまで経験のない課題が山積しており、解決のための具体的な議論がほとんどされていない状況である。こうした中で、国民の人権を守るために必要な社会保障を本当に維持できるのか疑問を感じる。
 昨年8月に安倍首相に提出された社会保障改革国民会議の報告書は、自ら支える「自助」、社会連帯の精神による社会保険に代表される「共助」、公的扶助による「公助」の3者を、「日本の社会経済の情勢の変化を踏まえて、その最適なバランスをどのように図るのかについて議論が求められている」と指摘している。政府はまずこれら社会保障の課題を国民によく説明し、超高齢社会を乗り切るための社会保障のあり方について、国民の合意を得るべきである。
 我々は、経済成長や歳出削減だけでなく、国民を守るという理念のもと、持続可能な社会保障制度の実現に向け、政府が国民との丁寧な議論を積み重ねることを求めるものである。
 以上、決議する。

平成26年5月24日
熊本県保険医協会  第39回定期総会