2008年6月24日
厚生労働大臣
  舛添 要一 様
熊本県保険医協会
会長 吉住眞
時間外診療に関するデータの目的外使用に抗議し
外来管理加算の時間要件の廃止を求める要望

謹啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。日頃の厚生行政に対するご奮闘に敬意を表します。
 さて、本年4月診療報酬改定で導入された外来管理加算への「概ね5分間を超えて直接診察」とする時間要件について、私たち熊本県保険医協会では、廃止することを求め要望してきました。
 この度、当会が加盟する全国保険医団体連合会が貴省に開示請求を行ったところ、時間要件導入の根拠として中医協に示されたグラフが、昨年7月に厚労省の委託事業として実施された「時間外診療に関する実態調査」をもとに作成されたものであることが判明しました。
 この調査は、勤務医の過重労働を改善することを念頭に、開業医の時間外診療の現状を把握する目的で、熊本県など2府4県の一般診療所を対象に行われたと理解していました。
 ところが、この調査結果が時間外診療とは無縁の外来管理加算への時間要件導入のための資料として、あたかも5分を超える診療時間が9割であるかのような形で利用されており、明らかに意図的なデータの流用と言わざるを得ません。また、調査項目から判断できるのは、医療機関の表示診療時間を外来患者数で割った平均診療時間に医師数を掛けた数字であり、診療現場を無視したまさに机上の診療時間であり、外来管理加算の要件とされる「診察時間」を判断する資料には到底なり得ません。
 当会が5月に実施した外来管理加算の算定に関するアンケート調査によると、4月の算定回数は前月と比べて診療所で79%、診療科によっては50%を切っているところも少なくありません。
 今回の時間要件の設定は、患者の疾病の個別性が否定され、医療スタッフと一体となって行う診療の流れを阻害するもので、本来の診療のあり方を歪めるものです。
 今回のデータの目的外使用に抗議するとともに、患者との間で無用のトラブルを招きかねない外来管理加算への時間要件を廃止する事を強く要望するものです。
以上