決 議
 本年4月の診療報酬改定は、勤務医対策を含めて本体0.38%引き上げとしているが、薬価等の引き下げにより全体では、マイナス0.82%と4回連続のマイナス改定となった。
 しかも外来管理加算の時間要件導入、制限日数を超えたリハビリテーションの選定療養化など、改定内容が明らかになるにつれ、医療現場に混乱をもたらしている。
 一方、医療費抑制を前提とした後期高齢者医療制度の実施に対しては、撤回を求める声が日増しに高まっている。
 わが国の医療費は、その経済力に比して極めて低い水準に抑制されていることは明白であり、小泉政権から続く社会保障費を毎年2,200億円圧縮する方針の早急な見直しが求められている。
 国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師として、政府が先進諸国の平均並みの医療費の水準まで、公的医療費を引き上げることを要求し、次の項目の実現を求めるものである。
一、医療の質と安全を保障するため、公的医療費の総枠を拡大し、診療報酬を引き上げること。
一、地域医療確保のため、医師数抑制を決めた平成9年の閣議決定を撤回し、医師・看護師・医療従事者のマンパワー不足を解消し、医療従事者の労働条件を早急に改善すること。
一、後期高齢者医療制度は、中止・撤回すること。
一、療養病床の再編・削減計画を見直し、県の医療費適正化計画の実施にあたり、地域の実情に充分配慮した手立てを講じること。
一、審査、指導においては、医学的見地と主治医の裁量を尊重し、医療費抑制を目的としたレセプト・オンライン請求の義務化を止めること。
一、強引なジェネリック医薬品への誘導をやめ、ジェネリック医薬品については、国の責任において品質管理を行う体制を速やかに確立すること。
一、「医療安全調査委員会」の設置については、拙速な制度化をやめ、関係各方面と連携をとり十分な議論を行うこと。
一、医療にかかわる消費税にはゼロ税率を適用し、医療経営に大きな負担となる損税の解消をはかること。
平成20年5月25日
熊本県保険医協会  第33回定期総会