決 議
 昨年実施の過去最大の診療報酬マイナス改定は、医療の質や安全に深刻な影響を与えている。加えて産科や小児科の医師不足など地域医療は崩壊の危機に瀕している。このような状況の中、医療費抑制を念頭においた「医療改革法」の諸政策が推し進められるならば、国民皆保険制度の空洞化、形骸化は避けられず、国民の健康に重大な被害をもたらすことは必至である。行き過ぎた医療費抑制により、医療が荒廃した英国の例を見れば明らかであり、わが国の医療制度を英国のニの舞にしてはならない。
 国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師として、政府が先進諸国並みの医療費の水準まで公的医療費を引き上げることを要求し、次の項目を決議する。
一、医療の質と安全を保障するため、診療報酬を引き上げること。
一、歯科の医学管理料の算定要件となっている、患者への交付文書の内容を簡素化し、低い歯科診療報酬を改善すること。
一、地域医療確保のため、行政の責任において医師・看護師・医療従事者のマンパワー不足の解消をはかること。
一、療養病床の廃止、削減計画を早急に見直すこと。
一、地域医療計画、医療費適正化計画など、医療改革法の実施にあたっては、地域の実情に充分配慮した手立てを講じること。
一、審査、指導においては、医学的見地と主治医の裁量を尊重し、医療費抑制を目的としたレセプト・オンライン請求の義務化を止めること。
一、医薬品、医療材料の内外価格差の是正をはかること。またジェネリック医薬品については、国の責任において品質管理を行う体制を速やかに確立すること。
一、医師法二十一条の「異状死」の届出が、医師の不当逮捕を招かないよう、「死因究明」のための専門組織の創設をはかること。
一、医療にかかわる消費税にはゼロ税率を適用し、医療経営に大きな負担となる損税の解消をはかること。
平成19年5月27日
熊本県保険医協会  第32回定期総会