熊本日日新聞(9/7)会長投稿

混合診療より保険医療充実


 中央社会保険医療協議会は8月31日、理学療法や腫瘍(しゅよう)マーカーなど、7項目の「制限回数を超える医療行為」と保険医療の併用を、10月1日から認めることを決定した。これはいわゆる「混合診療」に相当し、公的保険医療の範囲縮小へ道を開くものだ。
 たとえば、個別リハビリテーションは現在1回20分の理学療法が1日3回までしか認められていないが、10月からは患者が自己負担すればそれ以上の回数を行ってもよくなる。それ以上行う事が患者のリハビリに有効なら、これは保険医療で認めるべきであろう。
 しかし、自己負担の財力がないものは、有効とわかっていても受けられないとすれば問題である。また、単に回数を増やしてもリハビリ効果があるわけではないから、回数制限があるのなら患者が希望しても行うべきではない。
 もともと「混合診療」は必要な医療を制限して公的医療費を節約することと、混合診療に備えて民間医療保険に入る人が増えることを期待して導入が図られたものだ。形を変えた「混合診療」より、保険医療を充実してほしい。無駄な公共事業を止めれば、そのぐらいの財源はあるのではないか。



平成17年9月7日  上塚 高弘