決 議

 制度施行後、初の大幅見直しとなる介護保険法改正案が今国会で成立する見通しとなった。その結果、利用制限と居住費、食費の利用者負担、保険料のアップにより、必要な介護サービスの受給が抑制されることに対し、深い憤りの念を抱くものである。こうした社会保障給付費の抑制策が打ち出される中、来年4月には、診療報酬と介護報酬の同時改定が予定されており、医療界一丸となった取り組みが求められている。
 昨年末の「混合診療の基本合意」による特定療養費制度の抜本的改編、さらに新高齢者医療制度の創設、保険者の県単位での統合、社会保障給付費の伸び率管理の導入など、わが国の医療制度を根幹から揺るがす危機的状況を迎えている。
 わたしたちは、国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師として、政府の進める財政主導の社会保障制度改革を断じて許すことはできない。社会保障の充実こそが、市場主義社会の弊害を繕う最良の政策であるとの確信のもと、次の要求実現に向け奮闘するものである。


一、診療報酬体系を、医療の質と安全を保障できるように改善し、初診、再診料の医科・歯科格差を是正すること。
一、社会保障給付費の伸び率管理をやめ、公的医療費の総枠を拡大すること。
一、地域医療計画、医師の養成など、地域の実情に充分配慮し、行政の責任において医師の地域偏在をなくす手立てを講じること。
一、有床診療所の地域医療における有用性を認め、48時間制限を撤廃して診療報酬を適正に評価すること。
一、国保料滞納者に対して機械的、事務的な資格証明書、短期保険証の発行をやめ、保険料の軽減や減免措置の拡充を図ること。
一、混合診療の実質解禁をやめ、安全性、有効性が確認された医療技術、医薬品については、速やかに保険導入を図ること。
一、経済財政諮問会議等の提唱する株式会社の医療参入など、医療の不平等を招く規制緩和をやめること。
一、審査、指導において、医学上の判断と医師、歯科医師の裁量を尊重すること。
一、介護施設における居住費、食費の自己負担を軽減し、医療型療養病床への導入を行わないこと。
一、医薬品、医療材料等の価格設定の透明化、内外価格差の是正をはかること。またジェネリック医薬品については、国の責任において、品質管理を行う体制を速やかに確立すること。
一、医療にかかわる消費税にはゼロ税率を適用し、医療経営に大きな負担となる損税の解消を図ること。
平成17年5月29日
熊本県保険医協会  第30回定期総会