健保3割負担の実施に強く抗議する



 政府与党は、4月1日からの健康保険本人3割負担の実施に踏み切った。野党が共同提出した凍結法案を一度も審議することなく放置し続けたことは、議会制民主主義を冒涜する行為であり、断じて許すことはできない。そもそも、今回の患者負担増は、昨年の通常国会で与党単独の強行採決の末に成立したものである。当時、反対署名は3,000万筆を超え、世論調査でも6割が反対と回答しており、まさに国民世論無視の暴挙であった。
 今回の患者負担増は、昨年10月の高齢者の医療費負担増による受診抑制、治療中断という深刻な状況が、健保本人、家族にも及び、早期発見、早期治療という医療の原則が崩れ、国民の健康悪化につながることは明らかである。
 もともと、健保本人の窓口負担2割を決めた1984年の健保法改定の際、政府は「健保も国保も2割で統一する」と約束している。さらに、1992年に政管健保の国庫負担を16.4%から13%に減らしたとき、健保財政が苦しくなったら負担をもとに戻すとも約束している。まさに、健保本人窓口負担3割は、約束違反といえる。
 健保3割負担は強行されたが、野党は3割負担を停止し、2割負担に戻す法案を4月3日に提出している。今度こそ言論の府にふさわしい議論を切望したい。
 私たちは、今回の健保3割負担の実施に、満身の怒りをこめて抗議するとともに、国保を含め、患者負担2割実現のため、引き続き運動を継続するものである。


平成15年4月14日
熊本県保険医協会
会長 上塚 高弘