楽しかった懇親会
新型コロナウイルス感染症の5類への移行にともない、学会や講演会、懇親会なども徐々に開催されるようになってきた。数年前この欄に、"コロナ禍でのWEB学会もわるくない"という内容の記事を書いたが、いざ対面の会が再開されるとやはり現地に赴いてこそ得られるものは、たくさんあると実感する。
先日、第60回日本移植学会総会が長崎で開催された。日本移植学会は、会員数約3000人と規模は大きくないが、さまざまな臓器の移植に関わる医療者が加入する学会で、移植関連では中核となる学会である。
さて、この総会は2020年だけ完全なオンライン総会だったが、2021年以降は一部ライブ配信やオンデマンド配信を行いながら現地開催で行われている。そしてついに、今年から懇親会が解禁となり、久しぶりの懇親会はあの国指定史跡である「出島」で行われた。出島は小学校の修学旅行以来だったが、2000年以降修復が行われており、表門の橋を渡ると左右扇形に広がる埋立地には当時を復元した様々な建物が復元されていた。ライトアップされた夜の出島は、昼間と違って幻想的な雰囲気で特別感があった。出島の中には芝生の広場があり、そこに設営されたステージでは、大会長と長崎出身のさだまさしのトークライブが開催され、私たちはビールやワインを片手に芝生に座り込み、リラックスした雰囲気で堪能することができた。学会には海外からのゲストスピーカーもいたので、外国人を含め初めて長崎を訪れた人にはとても印象に残る懇親会だったと思う。今回の懇親会は、行政も協力した実証実験的な開催だったようで、主催側の準備は大変だったであろうが、熊本も熊本城や水前寺公園で懇親会ができたら、きっと多くの参加者を魅了できるに違いないと思った。
日本は学会や研究会が多すぎると思うのは私だけだろうか。腎臓関係でも毎月のように開催されており、たとえハイブリッドであっても興味がある学会すべてに参加するわけにはいかず、現地参加する学会は吟味しなければならない。ハイブリッド開催があたりまえになると、日常業務を休んで遠方の学会に参加するのはちょっと肩身が狭いときもあるが、新しい人脈作りや情報交換、そして心の洗濯に現地参加は欠かせない。
これから学会や研究会を主催したり手伝うことが出てくるかもしれない。そのつもりで学会に参加するとまた新しい発見がありそうだ。
熊本赤十字病院
豊田 麻理子(2024年12月『熊本保険医新聞』掲載)