わが家の「子ども有給休暇制度」

 わが家には、少し頑張らないと登校できないタイプの小4、小1の2人の息子がいます。そんなわが家で導入している「子ども有給休暇制度」について今日はご紹介したいと思います。医者の私にとってはあまりなじみのない有給制度ですが、世の中の大人たちは、しんどい時や自分の時間を楽しみたい時、有給がある。だからこそ、子どもにも有給があっていいんじゃない?というのがわが家の考え方。毎日学校で頑張っている子どもたちが、「今日はどうしてもゆっくりしたい」と思った時にだけ活用しています。しんどい思いをずーっと我慢して、ある日ポキっと折れてしまわないように、疲れが溜まってきたら時々ガス抜きをする。そして元気になったらまた学校でがんばる。息子たちはそんないい循環が続いています。
 有給を取る日は同居の義父母や私の実家に預けることもあります。基本好きなことをして過ごしているようですが、私が仕事がない時は、必ず一緒にランチに出かけます。先日次男の有給の時には、ランチタイムにクラスでの友達関係の不安についてポツリとつぶやいてくれました。それを聞き、「うんうん、そんな中毎日学校頑張ってるね。今日はゆっくり過ごそうね」と伝えました。1日休んだ次男はその日の夜、「今日楽しかったよ。ありがとう。だけど1人じゃつまんなかったからやっぱり明日学校行くわ」と言い、翌朝は元気に登校しました。長男は、先生に「有給願」を提出したそうで(汗)、「毎日頑張ってるからいいと思いますよ。入れそうならオンラインで授業に参加してね」と言ってくださる先生の神対応にも感謝しています。
 「有給」なんて作ったら、子どもは休み放題になるんじゃないの?と思いがちですが、きついときにはきついって言っていい、親はちゃんと話を聞いてくれる。それがわかったら、子どもはまた頑張れるんです。
 行きしぶりは、目一杯頑張った子どもからのSOS。わが子が潰れてしまう前にしんどいよ、って発信してきてくれた。そのことに「気づかせてくれてありがとう」って伝えてあげよう。子どもたちが自分で休みたい日を決められない義務教育の期間は、わが家は「子どもファースト」でいく、と決めています。
 「子ども有給休暇制度」、どこのおうちにもあったら、もっともっと子どもたちの笑顔が増えて、その結果、親や先生、周りの大人たちの笑顔も増えるんじゃないかなあ。文部科学省の皆さま、いかがでしょうか?

慈恵病院小児科
森 博子(2023年2月『熊本保険医新聞』掲載)