決 議
   超高齢社会への対応と財政健全化を前提とした「持続可能な」社会保障の実現という旗印の下、かつてない大胆な改革が進行している。
 2014年の診療報酬改定では、うがい薬の「保険外し」のルールが導入され、今後、湿布薬や漢方薬など市販品類似薬を保険対象外にされることが危惧される。本年4月から地域医療構想の策定がスタートした。超高齢社会に対応した医療提供体制を実現するため、これまでの医療計画とは異なり、行政により強い権限を与える仕組みになっている。また、今国会で審議中の「患者申出療養」は、安全性と有効性が確立すれば保険収載すると説明されているが、実際の運用と今後の保険診療への導入には不透明な部分が多い。全額自己負担の部分を含む混合診療が始まることで、保険診療の縮小ひいては国民皆保険制度の崩壊が懸念される。さらに、来年の診療報酬改定に向けた具体的な検討も中医協で始まったが、消費税増税が1年半先送りされた影響などでマイナス改定必至と言われており、2014年改定以上に国の政策優先の改定が行われると考えられる。
 我々は日本の国民皆保険制度を守り、診療報酬制度が抱える数々の不合理の是正を求めながら、地域で必要とされる医療を守るために日々努力している。社会の危機感を背景に、このような経済効果を主眼とした医療政策が無批判に押し通されることのないよう、我々はこれからも地域社会における住民の生活から目を背けることなく、現場に根ざした望ましい医療のあり方を医科・歯科、開業医・勤務医の如何を問わず、メディカルスタッフとともに連携しつつ考え、実現に向けた行動を重ね、粘り強く社会に発信し続けるものである。
   以上、決議する。

平成27年5月23日
熊本県保険医協会  第40回定期総会