決 議
 菅首相は就任時の所信表明で「強い財政、強い経済、強い社会保障」を唱え、社会保障制度の改革を図るとし、その柱である「新成長戦略」では、医療・福祉分野を成長産業と位置づけ、医療政策に一部市場原理を導入する姿勢を明確にし、平成二十三年四月には、社会保障改革案を取りまとめるとした。
 東日本大震災と東京電力・福島第一原子力発電所の事故への対応から先送りしたが、六月に税制改革案と一体で成立させるとしている。
 こうした中、経済同友会は、国民が享受できる医療・福祉サービスの選択肢を広げることを目的と謳って、混合診療の全面解禁や医療ツーリズムの振興などを三月三十日に発表している。
 財政再建は喫緊の課題であるが、医療に市場原理主義が持ち込まれ、営利化が進めば、わが国の優れた国民皆保険制度は崩壊し、二度と取り戻すことはできなくなる。
 折しも今年は、皆保険・皆年金五十周年の節目の年である。わが国にとって本当に必要な医療の在り方を、市民とともに検討・提言し、安心して暮らせる社会を構築するための社会保障制度の充実を要求する。

平成23年5月28日
熊本県保険医協会  第36回定期総会