会長談話

        「ハンセン病差別に憤りと更なる啓発活動への反省」



 11月18日、国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」入所者を対象とした「ふるさと訪問事業」で、南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が宿泊を拒否したことが報じられ、県内はもとより全国に衝撃を与えた。このことは、今なおハンセン病に対する偏見や差別が根強いことを浮き彫りにしたと言える。
 熊本県や黒川温泉旅館協会組合などの再三の説得にもかかわらず、宿泊を拒否した同ホテルの経営者「アイスター(東京都)」に対し、潮谷知事が人権侵害と抗議したのは当然のことである。
 患者隔離政策を定めた「らい予防法」を長年放置したことで国会も責任を問われ、私たち医療人も深く反省したことであるが、このような事件が起こってみると、一般市民への啓発活動は充分ではなかったことを認めざるを得ない。
ハンセン病は1943年(昭和18年)に特効薬プロミンが開発されて以来、速やかに治癒する病気となり、更に内服薬の錠剤の登場により在宅医療も容易となっている。
 私達は、ハンセン病が感染を恐れる病気ではないことの理解を、一般の方にも徹底するよう地道な啓発活動を続け、今回のような事件が再び起こらないようにすることが、差別され続けてきた患者さんへのせめてものお詫びであると考える。


平成15年11月19日
熊本県保険医協会
会長 上塚 高弘